Q.FRPとは何なんでしょう?
A.ファイバー、レインフォースド、プラスチックの略ですね。繊維、強化、プラスチックですね。ファイバー、レジンという方もいます。
その辺は定かじゃないんですけれどね。繊維と樹脂をつかってプラスチックを作るということですね。
Q.GFRPとCFRPがありますよね。ほかにもあるんですか?
A.KFRPがありますね。それぞれ繊維が違います。Gがガラス繊維、Cがカーボン繊維、Kがケプラ繊維ということですね。ケプラって
いうのはよく防弾チョッキに使われている、切れにくいといわれている繊維です。引っ張り強度が必要な時にはケプラを使います。
Q.私が大学時代にクラブで使っていた弓がグラスファイバーのカーボンを使った物だったんですが、それもそういう
のだったんですかね。
A.うちはポリエステル樹脂をつかってるんですけれど、弾力性のあるエポキシなどを使えばFRPでも充分いけますね。車のサスペンション
でも、最近見ませんが少し前の日産のバネットではリアサスペンションをFRPで作っていました。
Q.弓にはグラスファイバーでカーボンなしとカーボン有りというのがあるんですけど、私はカーボン有りをつかってたんですよ。
弓の返りが速いので。その中に入るのが普通は木なんですけれど、私の弓はガラスと、カーボンでした。コーティングして
ある弓を使ってたんですね。グラスファイバーってなんのことかよくわかんないで使ってたんですけれど、ガラスなんですね。
A.今でいうとスノーボードとかスキー板なんかは全部それですよね。高いのだとカーボン、通常ですとFRP、サーフボードの表面なんかは
グラスファイバー、中身は発泡ウレタンですけれどね。
Q.FRPでモデルを作成するというのは例えばどういう物を作るんですか?
A.FRPのモデルというと、材質がちがうんであれ量産と同じ薄い物ができますので、レース部品・テスト部品・デザイン検討用のベースが
できます基本的には木型、マスターモデルを支給して頂いて、メス型を取って反転して、FRP製品を成型します。型を取らない場合もあ
りますね。他にも強引なやり方なんですけど、発砲ウレタンでつくって外側にFRPを張り込み中をくりぬく方法もあります。
そうすると一皮大きい物ができるんですけれど、型が不要なんです。雑で良ければこれでできあがっちゃうんですね。表面のざらざらした
ところを仕上げるので逆に大変といえば大変です。雑物の堅い物にしたいときには、こういう手っ取り早い方法もありますが、おすすめ
できません。
Q.木型にFRPを貼るんですか?
A.木型から型を取るのがメジャーな方法です。モデルブロック、代替えの木材、石膏、クレイモデルも木型のかわりになります。
実際には木型にかかわらず量産品のカウリングとか、車を持ってきてここを反転するいうこともできますね。
Q.光造形からもFRPの型を反転するのですか?
A.光造形にはFRPを使いません。できることはできるのですが、光造形のメリットが無くなるので普通は行いません。
光造形の材質自体はもろいので、反転したときに光造形自体が壊れるケースがあるんですね。光造形は値段が高いので、その点で
メリット的に弱いんですね。光造形を複製するとなると、材料はシリコン樹脂です。
Q.FRPで型を取って、複製もFRPでつくるんですね。スポイラーとか、カウリングもそういう手法でつくるんですね。
では、オリジナルのカウルを作る場合にはクレイモデルで作って、FRPを貼って型を作って、そこにまたGFRPや
CFRPを貼って、それを塗装するなどして、車につけますよね。
A.そうですね。用途にもよりますけど結構強固な頑丈な型をつくらせていただけるのでしたら何十台もコピーをつくれます。
型の限界があるのでその見極めはありますけれども。
Q.FRPからFRPを作る以外に他の手法というのはあるんですか?
A.デザイン用のベース、たとえばカウルなんかを作った場合に、FRPはいろいろな接着剤や塗装でもOKなので、これをベースにクレイを
盛ったり自分たちで穴をあけて違う物を盛ったりとかというかたちでも使われていると聞いています。
Q.プロトタイプ・モデリング・サーブ(旧社名:朝霞工房)で特徴的な技術の一つにFRPの型を使った真空注型の手法がありますよね。それ以外にFRPをつかうことは
ありますか?
A.基本的には製品全般に使えます。
Q.真空成形は関係ないですか?
A.真空成形にはあまり関係ないですね。簡易的な引き物といわれる真空成形であれば型に使われますね。耐熱温度の問題があるので数を作るには
不向きですね。
Q.GFRP、CFRP、KFRPにはそれぞれどんな特徴がありますか?
A.GFRPは代表的なFRPです。Gということでガラス繊維を使うものです。ガラス繊維も、ガラスマットとかガラスクロスとか色々種類が
あるんですけれど、繊維の走っている方向が違います。メリットとしては材料が安価、いろんな形状になじみやすいのでいろんな反転ができ
る。自由度が高い。硬化時間が比較的短く短納期でできる。強度は通常のポリエステル樹脂やエポキシ樹脂にガラス繊維をしみこませるので、
強化プラスチックといわれるだけあってかなり強い。デメリットはガラス繊維をつかうので、リサイクルの問題では日本国内ではあまり好まし
くないこと。本来ABSやPPを使うところにGFRPを使うので強度がありすぎて設計的なテストの品物にならない場合がある、というデメ
リットがあります。デザイン的な物とか風洞をみるときやワンオフのモデルを作るときは逆に先ほどのメリットがあります。
Q.ガラスとCFRPとはどのように違うんですか?
A.カーボンは炭素繊維ですので、アルミと同じ強度でかつ紙と同じ重さでできるということがガラス繊維と違うところです。
Q.GFRPは重いんですか?
A.ハンドレイアップでやると職人の技術によって違うんですけれど1.6から1.8くらいの比重を持つんですね。ABSやPPは1.1。
同じ厚みで作るとGFRPはCFRPの1.5倍くらい重くなってしまうんですね。CFRPは肉厚を薄くできるので積層数を少なくする
ことによって軽くできるんです。
Q.GFRPとCFRPは同じ厚みを取ると、CFRPのほうが価格的には高いんですか?
A.材料費が通常のFRPの10倍以上になります。カーボンの繊維自体が不織布の状態ではなく縫い合わせた状態のものなので
型になじみにくいんですね。仕上がりが職人の技術に依存します。熟練技術者によらないと、重量がGFRPでやるのとかわらなくなってしまうんです。
Q.話が戻りますけれど、たとえば光造形のモデルはどのようなものを作ったことがあるんですか?
A.オートバイのサイドカバーやカウリングの一部などの注型のマスターですね。
Q.そのあと製品にする場合にはシリコンに沈めて型を作って真空注型するわけですね。FRPは単品も型もあるんですね。
FRPは何でもできちゃうんですね。
A.過去にはいろいろな物を作ってます。本来金属でつくるものは別としてインパネとかありとあらゆる物を作ってますね。
Q.プロトタイプ・モデリング・サーブ(旧社名:朝霞工房)さんのFRPは優れているんですか?
A.弊社のFRPは、量産品FRP製品とは異なるものです。実際につけてレースに出て頂いたり、走行したりしている
ものを作っていますので、表面的な外観以外に品質そのもについても実績があります。たとえば裏表あるようなものでもそれに近い構築の
図面やタ際に付ける物などをいただければ製品の作成ができます。
Q.グレード的には上等な品質の物ができるわけですか?
A.通常一般的に売られているFRP製品などに比べれば質の高いものが製作できます。
それは長年の技術と経験の積み重ねによるものです。
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